助成金事務とコストを考える

by ootsukablog, 2013年6月27日

障害者雇用納付金制度に基づく助成金。

法定雇用率に満たない企業から徴収した障害者雇用納付金を財源に、
雇用率を超えて障がい者を雇用している企業には
調整金や報奨金をはじめとする各種の助成金が支給されている。

また設備を設置した際も、
「一定の要件を満たせば」その費用の一部が助成される。
そのなかの障害者雇用作業施設等設置助成金の話について愚痴を言わせてほしい。

4年も前の話であるので、今はいろいろ改善されている、
という前提でお読みいただきたい。

FVPでは、店舗の設備、備品を設置し購入するにあたって、
この作業施設等設置助成金の申請をした。

申請のタイミングも要件もすごく厳しくて、
「絶対のこの期間内に出さなければだめ」と言われ突貫工事で申請書を作った。

その書類の量たるやびっくりするほど大量で、
ひとつひとつの備品に至るまで相見積が必要だったので、大変だった。
そのあと、先様(キコウ)でどのようなプロセスが
執り行われたかは知る由もない。が、申請して認定が下りたのが21年の7月。
助成金が支給されたのは22年の12月。なんと1年半も経っている。
(たった100万単位の助成金の審査に1年半も要したということ…)

申請から支給の間に、何度かキコウの担当者の方から手書きファックスで
問合せがきた。問合せに対応すると、そのあとはしばらく音沙汰がなかった。
またまた思い出したように、申請書に手書きして問合せのファックスが届いた。
まとめて確認すればすむ用件だった。
支給はいつになるのかと問い合わせても
「今やってます。もうしばらくお待ちを」と言われ続けたのだった。

そして月日が経ち、3年後の今。
当該助成金の最後の完了報告のタイミングで、いろいろと尋ねてくださる。
1000円単位の付属品が固定資産台帳のどの部分に載っているのかと。
この金額の端数はなぜ切り上げたのかと。
厳格な確認を賜り、恐れ入っております。

わが社の担当はこの端数の確認の対応にものすごくたくさんの時間を割かれている。
助成金が正しく使われたかどうかを確認する役割なのだから、当然なのであるが、
4年半前のことについて、端数の処理にここまで時間をかけて
「調べていただく」ということについて「どうよ」と言いたい。

いちいち、電話やファックスで、「これは何だったの?(4年半前のこと)」
「あれは何だったの(4年半前のこと)」を聞くんじゃなくて、
「この場合はこうなります」と文書で連絡してくれればいいじゃないでしょうか。
キコウの方、人件費もコストだっていう考え方していらっしゃるのでしょうか。

納付金収入が約1900億に対して、支給に要する費用は2300億。
なんと400億もの「赤字収支」になっている。
障害者雇用納付金を財源とする助成金のうち、もっとも大きな部分を占める
調整金、報奨金関係は申告ベースで支給されていっており、
過大支給が指摘されている。これこそ「どうよ」と言いたい。
そして、助成金の審査や書類の確認事務の「非効率」によって、
納付金が、助成金に回るプロセスで人件費としてどんどん蒸発していっている。
制度設計の問題と運用の問題、両方あるよね。

そして本来の障がい者雇用促進の目的に照らして考えると、
やっぱりいろいろ悪口を言いたくなる。
びっくりするほどわかりにくく、これだけ複雑で、
しかも財源の問題から支給されるかどうかもわからず、
支給されるのは、はるか先。

しかも支給されたあとも煩雑な事務が生じる。
「これって障がい者雇用に取り組む企業にとってのインセンティブになっているのでしょうかぁ」と。

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