就労支援機関の情報提供はどこまで信頼していいのか

by ootsukablog, 2014年5月22日

障害者の就労支援をしている就労支援機関が、障害者の採用面接に同行してくれることをご存じだろうか。
同行の際、就労支援機関は、応募者(障害者)の特性、強み、配慮事項など、本人に関する情報を、惜しみなく提供してくれる。本人のコメントだけでは判断しかねる部分も多いので、企業にとってはとてもありがたい存在だと思う。
なので、ウチでコンサルするときは、就労支援機関のサポートがある障害者の方の採用を進めてもらっている。

いわゆるイマイチな就労支援機関で支援を受けている応募者(障害者)は、まだ準備の整っていない人が多い。なので就労支援機関の職員の振る舞いを見れば、その障害者を採用すべきかどうかということが、結構な確率でわかる。
採用は見送りとなる場合が多いが、その判断はほとんど間違ってないと思う。

採用のご担当者にとって悩ましいのが、「頑張っている」就労支援機関から提供される情報の吟味である。

その事例を紹介する。

Aさんは予定変更が苦手ですので、なるべく予定変更は避けてください。
どうしても予定変更がある場合は、前日までに文書で視覚的に伝えてください。
ストレスがたまると○○の行動や発言が見られます。
自分で自分のストレスに気付けない傾向があるので
○○の行動が見られたら、無理に仕事をさせず、別室で静かに過ごせるよう配慮してください。
昼休みはガヤガヤした環境が苦手です。
一人でゆっくりできるスペースの確保をお願いします。
こちらが配慮事項をまとめたマニュアルです(とマニュアル持参)。

Bさんは薬の副作用で、眠気があり仕事中に眠ってしまうことがあります。
言われたことがすぐに理解できないことがあります。
言われたことを忘れてしまうことがあります。
動作が不器用で、かつゆっくりしか仕事ができません。
疲れやすいので、最初は一日3時間しか働けません。
これまでもストレスを感じると病状が悪化することがありますので、なるべくストレスのない環境で働かせてもらえるとありがたいです。

Aさん、Bさんそれぞれの
成育歴、主治医、家庭環境、親の財産状況に至るまで詳細に情報提供してくれるも、
採用側としては、採用意欲が高まるどころか、かえって不安になるばかりである。

就労支援機関は、障害者を支援するのが仕事です。
彼らは、困難さフォーカスをして支援をしていきます。
なので、困難さを詳細に把握していることはよいのですが
その障害者ご本人を思うがあまり
「もれなく伝えなければ」という行動が強くなることがあるのです。
結果、
聞かされる側としては、弱いところ、仕事をするうえでハンディになる部分ばかりを言われているように聞こえてしまうというワケ。

じゃあ、
採用担当者としてどうすればいいの。

就労支援関係者にお叱りをいただくことは重々承知で書きますが、あえて書きますね。
こういう就労支援機関の方の話。
「話半分」に聞いておいてください。
ネガティブな話は半分割り引いていいです。

そして、
得意なところはなんですか?
と聞いてみてください。
これが聞ければ大丈夫かと。

そして最後は、
採用側として受ける印象で判断してください。

受ける印象って?
ウチの会社に溶け込めそうか です。

そんな乱暴な。

そうですよね。
「溶け込めそうか」は
身だしなみ。
挨拶などのビジネスマナー。
ホウレンソウ。
指示の理解。
注意されたときの対応。
などです。

なので、「実習」をやってください。
面接だけではなく、
実際職場で仕事をしてもらうとよいのです。
実習を1週間もやれば「溶け込めそうか」は分かるはずです。
ついでに就労支援機関のいうことがどの「程度」出現するのかを検証していただきたいと思う次第です。

Aさん。Bさん。
実習を「溶け込めそうだ」という判断基準で無事採用(*^^)v

Aさんは。
そんなに心配しなくとも環境変化に順応している。
支援機関から提供された分厚い、「配慮事項」マニュアルは結果として活用されていない。

Bさん。
眠気も気になるほど起こらず、ストレスにもつぶれず、週30時間の勤務を続けている。

最後に。
提供する情報を「うのみ」にしていい就労支援機関というのも存在しています。

それはどんな支援機関なの??
興味ありますよね。
ごめんなさい。
それはまた今度ということで(*^_^*)

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