精神科病院の雇用の可能性について

by ootsukablog, 2015年3月25日

 

精神科病院。
社会的入院を余儀なくされている方への
退院促進、地域移行といった取り組みは相当議論されている。
が、もう一歩進んで、精神科病院自らが、就労支援、雇用の受け皿になっていくという取り組みはなかなか進展していかないとうかがった。

なぜか。
理由を聞いて、ある意味納得。

精神疾患のプロフェッショナルであるから
疾患のことは一番良く分かっている立場。
これは強みであるのだが、一方で、一番具合の悪い時の患者さんを診ているわけだ。

病院自体は、多種多様な仕事の集合体であるため
仕事自体は存在していることは間違いないが、
可能性を整理し、優先順位を整理し、実施に採用に踏み切っていくには
外部の力が必要だ(最初からそういう仮説を持っていたのではなく、単なる経験値)。

といった背景のもと
東京・高尾の駒木野病院さんの精神障がい者採用のお手伝いをさせていただいたのが2年ほど前。
われわれが提案した「職域」「仕事の優先順位」「人的な環境づくり」「人材要件定義」などを参考に採用を進めていただき、見事3名の精神障がい者の入社が実現した。
現在は6名もの精神障がい者が病院で仕事をしている。

そして、東京都精神科病院協会の研修会に講師としてお招きいただいた。
駒木野病院さんの精神障がい者雇用の取り組みを、病院での障がい者雇用プロジェクト主担当の新井山さん、駒木野病院で働く精神障がい者の方の発表などと合わせて、外部コンサルティング会社としての講演をするというオーダーだ。

いただいたテーマは「精神科病院の精神障がい者雇用の可能性」について。
というもの。
第三者的な立場であるがゆえにできること
「どの部門で」「どういう環境を整えて」「どのように採用を進めれば」うまくいくか
を客観的にみてどうだったかという観点でのお話。

参加者のみなさん、とても熱心で、精神科病院として
どうやって雇用に取り組んでいくべきか
ということを真摯に検討していらっしゃることがひしひしと伝わってきた。

その関連でうれしかったことが二つあった。

駒木野病院で事務の仕事をしているKさんの発言。
「(研修会で発表するために)出張するなんて!就職したから実現したこと。自分がここまでできるようになったことがとてもうれしい」とおっしゃっていたこと。
このKさんの人生にとって、微力ながらお役に立てたんだと思うとジンワリうれしさがこみあげてくる。
 
そしてももうひとつ(手前味噌な喜び)
求人を出したときのハローワークさんから、就労支援センターへ共有していただいた情報では「コンサルティング会社が仕事の切り出しをしている」という情報と合わせて届けられていた。

つまりは、働きやすい環境が準備されている職場だと受け止めていただいたと理解した。

大げさな言い方ですが、障がい者の方にとっても、会社の方にとっても、ハローワークにとっても就労支援をする方にとっても、お役に立てたことが実感できた。
そんないい一日だった。

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