発達障がい者の雇用

by ootsukablog, 2013年10月11日

「G社の社長さんから、発達障がいの人を採用したいのと言われ、正直びっくりしました。最初から発達障がい者を『指定』されたのは初めてだったので」
そう言うのは、とある障害者就業・生活支援センターのK所長。

G社の社長さんの談はこうだ。
「自閉症だと言う人と話す機会がありました。
コミュニケーションが苦手という障害だ、就職するのに苦労していると聞いたんです。
なんで?こんな人たちが就職に困っているのかと不思議でした。
わが社では提供できる仕事がありそうに思う。
むしろ活躍してもらいたい場所がある。
そこでK所長に相談したんです。」

依頼されたK所長は、複数の発達障害の関係機関にオファーし、
社内勉強会や手順書(マニュアル)などの整備を進めてもらった。
そして採用した発達障害のある青年。
言わずもがなで着実に能力を発揮し会社に貢献されているそうだ。

G社の社長は続けておっしゃる。

「(発達障がいのある)彼は、予想通り力を発揮してくれて言います。
コミュニケーションが苦手だけどそれ以外は何の問題もない。
おかげで、発達障がいのある社員の強みを生かした新規事業に挑戦できる可能性も見えてきました。

むろんすべての発達障害のある人が該当するわけではないけど、
自身の苦手さについての自己理解がある程度できていて、
組織人としてやっていく一定のスキルを習得しており、
必要に応じてサポートを受けることのできる発達障害者。
こういう発達障害者を採用した企業は、間違いなく「採用してよかった」と感じる。

企業は合理的意思決定をする生き物である。
今後G社のような依頼はどんどん増えてくる。

となれば「送り出し」がもっと頑張る必要を感じる。
優秀な労働力としての力を発揮できるよう本人を支援し
発達障害の「働きたい」と「働き続ける」をサポートする支援者。

ところが支援者の方の多くが「発達障がいは難しい」とおっしゃる。
これは早くなんとかしなければならない。
勝手ながらそう思う日々。

FVPで受託して4年目になる発達障害者に関する厚労省の事業がある(発達障害者就労支援者育成事業)。
正直とてもシンドイ仕事なんだけど、微力ながら果たすべき役割は大きい。
なのでシンドクても頑張ろうと思う。

閑話休題。
くだんの、G社の発達障害のある社員の方、先日、一泊二日の社員旅行に参加するという「挑戦」をし、見事成功したのだとか。
その成功を支えたのは、障害者・生活支援センターのK所長だ。
社員旅行に対する不安や期待、家庭での様子などを丁寧に聞き取り、配慮事項などをG社へと共有したのだそうだ。
「我々(G社の社員)だけでは実現しなかった」とおっしゃる社長さん。
やはり支援者の役割は大きいと痛感した。

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